写真と……

仕事が進まず、書店をぶらつき、藤原新也『渋谷』を手に帰宅。
久しぶりに藤原さんの文章を読んでまず感じたのは、筆致の穏やかさだった。
かつての『東京漂流』とか『アメリカ』の挑発的な記述ばかりが僕の中に強い印象として残っていたので、まずは意外に感じた。けれども、この書の中ほどと末尾に添えられている写真と肯定性についての論点を読み、それが誤解によるものだったことに気づく。いわく、写真には、根本において対象への肯定がなくてはならない、と。とすれば、かの挑発的筆致は、そうした肯定に支えられてのものなのであった。
高校の時いらい感じてきた印象があらためられたように感じた。
渋谷