2012-01-01から1年間の記事一覧

ドブジャンスキーの人種概念について

拙稿(「類型から集団へ――人種をめぐる社会と科学」酒井・浦野・前田・中村(編)『概念分析の社会学』ナカニシヤ出版, 10-40)において、Th. ドブジャンスキーをとりあげ、彼の生物学的(遺伝学的)人種概念について分析したことについて、「科学史」的に妥…

Constructing Autism

Nadesan, M. H., 2005, Constructing Autism: Unravelling the 'truth' and understanding the social, Routledge. 自閉症の概念と自閉症者の存在について、20世紀西洋の歴史的社会のなかにその成立の可能性を見いだしていく研究。 題名からは、自閉症がもっ…

お知らせ

私の博士学位請求論文について、公開審査会の日程が決まりましたので、お知らせします。 日時:2012年7月31日(火)14時30分〜16時30分 場所:慶應義塾大学三田キャンパス南校舎433番教室 学位請求者:浦野 茂 論文題目:「人間・社会科学の実践をめぐる方法…

精神障害の症候の論理的地位

Marková, I. S. and German E. Berrios, 2009, "Epistemology of mental symptoms," Psychopathology, 42, 343-349. 精神障害の症候とされるものの論理的地位の検討。 その概念が、症候とされる行動が現れる社会的なコンテクストや、患者の持つ障害や生活と…

診断概念の妥当性と有用性

Kendell, R. and Jablensky, A., 2003, "Ditinguishing between the validity and utility of psychiatric diagnosis," American Journal of Psychiatry, 160(1), 4-12. 様々な精神障害は自然な種類(natural kinds)なのか否か。またそうでなかったら、精神…

概念の操作的定義と操作的診断基準

佐藤裕史, German E. Berrios, 2001「操作的診断基準の概念史」『精神医学』43(7), 704-713. 精神医学における操作的診断基準の導入の経緯とその問題をまとめている。 精神医学において操作的診断基準が発表されたのは、1972年のJ. P. フェイナーらの論文で…

模倣と内面化

Hacking, I., 2010, "Pathological withdrawl of refugee children seeking asylum in Sweden," Studies in History and philosophy of Biological and Biomedical Sciences, 41, 309-17. おもにスウェーデンを中心に2001年以降に発生した、難民の子どもたち…

病状の分類と発明の、二つのベクトル

Hacking, I., 1982, "Biopower and the avalanche of printed numbers," Humanities in Society, 5, 279-295. =2012, 岡澤康浩訳「生権力と印刷された数字の雪崩」『思想』1057, 76-101. 30年ほど前に書かれたハッキングの論文。この後、ハッキングは1990年…

残り物

これまでの原稿をまとめる仕事をしていたら、すでに刊行された論文の続きにあたるものが出てきた。ほんらいであれば、この続きを書き終えて刊行すべきだったのだろう。けれどもそれができず、「作業中」フォルダの中に入っていた。 これに気づいて、さてどう…