2011-01-01から1年間の記事一覧

being capable of adequate self-description

「適切に自己を記述することができること」――H. サックスによると、人間とはそのようなことができる動物であるそうだ。 ともするとこうした能力の生物学的基盤などを連想しがちな言い方ではあるけれど、そうした連想の手前で、まずは自分の行っている事柄を…

病院の外で――お悔やみに関する覚え書

Sudnow, D., 1967=1992『病院でつくられる死――「死」と「死につつあること」の社会学』せりか書房. 表題の論文は、この書の第6章。 今年度の大学院での授業は、病気や死に関係する質的研究をあれこれ読みながら、ディスカッションすることを中心に行っている…

実践の中のジェンダー

小宮友根, 2011『実践の中のジェンダー:法システムの社会学的記述』新曜社.実践の中のジェンダー?法システムの社会学的記述作者: 小宮友根出版社/メーカー: 新曜社発売日: 2011/09/21メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 42回この商品を含むブログ (29件) …

社会性の障害?

R. ウィングらによると、自閉症スペクトラムの主要な障害の一つとして「社会性の障害」がある(その他に「コミュニケーションの障害」と「想像力の障害」)。この社会性の障害というのは、どう考えたらよいのだろうか、少し疑問がある。それをきわめてラフに…

構造化された直接性(?)

Leudar, I., Sharrock, W., Hayes, J., Truckle, S., 2008, Psychotherapy as a "structured immediacy" Journal of Pragmatics, 40, 863-885. この論文の目的は、精神分析から行われる心理療法セッションにおいて行われている事柄を、その実践の内側から記…

「下働きとしての哲学」としての、自閉症の現象学

Zahavi, D., 2005, "Theory of mind, autism, and embodiment," Subjectivity and Selfhood, MIT Press, 179-222. 自閉症について、S. バロン−コーヘンらによってなされている心の理論による議論について、その基礎的概念の検討を通じて批判をしていく論文。…

Neurotypicals

ニューロ・ティピカルス。どう訳すべきなのだろう。典型的な脳神経の持ち主という感じなのだろうか(もちろん「正常」とか「ノーマル」という語はふさわしくない)。 ウィキ・ペディアによると、この概念は脳神経系レベルに絡めて自閉症以外の者を指すべく、…

アイデンティティ・と・政治

アイデンティティにもとづく政治について述べるなかでのJ. バトラー。「ユダヤ人を愛そうとも憎もうとも、まさに同じ信用ならない操作に荷担している」『みすず』589号, 6-24頁。 私たちは、考察の対象が実際にはパレスティナにとってのある新たな政治秩序で…

科学(者)のなかの哲学(者)

哲学の生存戦略とそのアジェンダーとの副題をもつ論文の中の一節から。 科学者も探求の或る局面で、複数のリサーチ・プログラムの優劣を論じたり、ある結果を発見といってよいかどうかを考えたり、これまで使ってきた概念を整理したり、複数の理論の相互関係…

What is an author

ある事情から、読み直す。関連する部分の抜き書き。 ...... I believe that one could find here an introduction to the historical analysis of discourse. Perhaps it is time to study discourses not only in terms of their expressive value or forma…