アイデンティティ・と・政治

アイデンティティにもとづく政治について述べるなかでのJ. バトラー。「ユダヤ人を愛そうとも憎もうとも、まさに同じ信用ならない操作に荷担している」『みすず』589号, 6-24頁。

私たちは、考察の対象が実際にはパレスティナにとってのある新たな政治秩序であるにせよ、(二民族一国家にユダヤ人として賛成するなどといった形で)アイデンティティの問題に直面しているのです。私たちの政治の対象はアイデンティティではなく、この観点からすると、アイデンティティを目指す政治(politique identitaire)でもありません。そうしたこと〔アイデンティティに関する事柄〕を定式化するにあたって人がアイデンティティを占有したりしなかったりする手法、アイデンティティというカテゴリーを動員する手法、これこそが興味深いものなのです(7f.)*1

そのような例として、アイデンティティというカテゴリーと政治的立場や所属関係との結合を自明なものと見なすこと自体へと、視線が向けられていく。

*1:丸括弧内は引用者による補足