Hacking,I. 1999=2006

  • Hacking, I. 1999 Social Construction of What?, Harvard U. P. =出口康夫ほか抄訳『なにが社会的に構成されるのか』岩波書店.

風邪で横になりつつ、再読。訳書のせいか、あっさりと。もちろん抄訳のせいもあるが、ただし、下記のことがようやくはっきりしてきた点ではありがたい。


ねらい=「社会的構成(あるいは構築)」をめぐる言語実践を記述したもの。いいかえれば、「(社会)構成(主義)」の概念を中心として成立している論議の中心にある掛け金とその由来とを明確にすること。というわけでその理論的解決を試みるものではない。この点は冒頭でも述べられている。
たしかに彼じしん、構成主義への不満を随所で述べている(そしてそれはそれでとても重要なものだが)。しかし基調は、構成主義をめぐる言語実践の記述。こうしたスタンスは、思いのほか、その他のケース・スタディでのスタンスと同じもの。
じつはこの点がこれまではうまくつかめていなかった。彼が随所で漏らす不満を積極的に展開するとどうなんだ、ではどうすべきなのか。こんな風に以前は思っていた。けれどもこれは、彼が記述の距離を取るためにいつもおこなう、批判的コメント。いつもながらのもの(たしかに今回は軽いものにとどまっているし、別の著作では積極的に展開されている)。
たしかに邦訳は児童虐待を積極的に対象にした5章までになっており、このあたりが見えにくくなっている感じもする。けれどもこうしたスタンスは、いわゆる構成主義を勝手に定義し、乗り越えていくことが当然のようにされているなかにあって、立ち止まってみる意味で貴重なもののように思えた。


今日は寝床でこれを(↓)再聴。
事情あって引っ張りだしてきた。良いアルバムだったのにね.....。
ラーズ+8