影か道標か

『概念分析の社会学――社会的経験と人間の科学』(ナカニシヤ出版)が、おかげさまで再版されました*1
僕は、この本については、企画編集と(実際には編集はあまりできてませんが)人種概念についての寄稿という形で、関わっています。それ以後、人種についての議論を詳しくフォローしてはこなかったので(時間があればまだまだやりたいのですが)、ある意味でこの書は自分にとってはすでに「過ぎたもの」ではあります。
ところが他方で、現在他の仕事をしている最中に、この書をたびたび手にとり、断片的に読んでいます。読んでいる箇所は様々なのですが、とくにこの書がハッキングに学びつつもエスノメソドロジーであろうとしていることが明らかな部分について(印象的なのは強いてあげると喜多さんと石井さんによるそれぞれの一節なのですが)、とりわけ読み直しているようです。
企画段階からかなり無理のある仕事であることが明らかで、編集という観点から見るといろいろとささくれの目立つものなのかもしれませんが、「背伸びして本を作る」ことの個人的恩恵を感じています。

概念分析の社会学 ─ 社会的経験と人間の科学

概念分析の社会学 ─ 社会的経験と人間の科学

*1:これは当然、酒井さんの営業力のたまものでもあるのですが