「施設で生きるということ」

  • 有薗真代, 2016, 「施設で生きるということ――施設生活者の戦後史からみえるもの」『世界』887, 49-55.

障害者の施設生活をめぐる既存の価値観、言い換えれば、施設を否定し、脱施設化・地域生活を肯定するという二項対立的な見方に対し、本論は問題提起を行っている。この二項対立は、障害者の脱施設化と地域生活をめぐる見方にもうかがえる。こうした見方は、一方で障害者の施設への意思や障害者とその家族が施設を通じて培ってきた関係を否定し、他方で障害者の生活とそのあり方への意思をまったく置き去りにした予算削減策へと通じるおそれがある。このこと指摘したうえで本論は、こうした施設と地域生活との対立的見方を超えた支援の連帯関係を模索する必要性を述べている。


世界 2016年 10 月号 [雑誌]

世界 2016年 10 月号 [雑誌]