Constructing Autism

Nadesan, M. H., 2005, Constructing Autism: Unravelling the 'truth' and understanding the social, Routledge. 自閉症の概念と自閉症者の存在について、20世紀西洋の歴史的社会のなかにその成立の可能性を見いだしていく研究。 題名からは、自閉症がもっ…

お知らせ

私の博士学位請求論文について、公開審査会の日程が決まりましたので、お知らせします。 日時:2012年7月31日(火)14時30分〜16時30分 場所:慶應義塾大学三田キャンパス南校舎433番教室 学位請求者:浦野 茂 論文題目:「人間・社会科学の実践をめぐる方法…

精神障害の症候の論理的地位

Marková, I. S. and German E. Berrios, 2009, "Epistemology of mental symptoms," Psychopathology, 42, 343-349. 精神障害の症候とされるものの論理的地位の検討。 その概念が、症候とされる行動が現れる社会的なコンテクストや、患者の持つ障害や生活と…

診断概念の妥当性と有用性

Kendell, R. and Jablensky, A., 2003, "Ditinguishing between the validity and utility of psychiatric diagnosis," American Journal of Psychiatry, 160(1), 4-12. 様々な精神障害は自然な種類(natural kinds)なのか否か。またそうでなかったら、精神…

概念の操作的定義と操作的診断基準

佐藤裕史, German E. Berrios, 2001「操作的診断基準の概念史」『精神医学』43(7), 704-713. 精神医学における操作的診断基準の導入の経緯とその問題をまとめている。 精神医学において操作的診断基準が発表されたのは、1972年のJ. P. フェイナーらの論文で…

模倣と内面化

Hacking, I., 2010, "Pathological withdrawl of refugee children seeking asylum in Sweden," Studies in History and philosophy of Biological and Biomedical Sciences, 41, 309-17. おもにスウェーデンを中心に2001年以降に発生した、難民の子どもたち…

病状の分類と発明の、二つのベクトル

Hacking, I., 1982, "Biopower and the avalanche of printed numbers," Humanities in Society, 5, 279-295. =2012, 岡澤康浩訳「生権力と印刷された数字の雪崩」『思想』1057, 76-101. 30年ほど前に書かれたハッキングの論文。この後、ハッキングは1990年…

残り物

これまでの原稿をまとめる仕事をしていたら、すでに刊行された論文の続きにあたるものが出てきた。ほんらいであれば、この続きを書き終えて刊行すべきだったのだろう。けれどもそれができず、「作業中」フォルダの中に入っていた。 これに気づいて、さてどう…

being capable of adequate self-description

「適切に自己を記述することができること」――H. サックスによると、人間とはそのようなことができる動物であるそうだ。 ともするとこうした能力の生物学的基盤などを連想しがちな言い方ではあるけれど、そうした連想の手前で、まずは自分の行っている事柄を…

病院の外で――お悔やみに関する覚え書

Sudnow, D., 1967=1992『病院でつくられる死――「死」と「死につつあること」の社会学』せりか書房. 表題の論文は、この書の第6章。 今年度の大学院での授業は、病気や死に関係する質的研究をあれこれ読みながら、ディスカッションすることを中心に行っている…

実践の中のジェンダー

小宮友根, 2011『実践の中のジェンダー:法システムの社会学的記述』新曜社.実践の中のジェンダー?法システムの社会学的記述作者: 小宮友根出版社/メーカー: 新曜社発売日: 2011/09/21メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 42回この商品を含むブログ (29件) …

社会性の障害?

R. ウィングらによると、自閉症スペクトラムの主要な障害の一つとして「社会性の障害」がある(その他に「コミュニケーションの障害」と「想像力の障害」)。この社会性の障害というのは、どう考えたらよいのだろうか、少し疑問がある。それをきわめてラフに…

構造化された直接性(?)

Leudar, I., Sharrock, W., Hayes, J., Truckle, S., 2008, Psychotherapy as a "structured immediacy" Journal of Pragmatics, 40, 863-885. この論文の目的は、精神分析から行われる心理療法セッションにおいて行われている事柄を、その実践の内側から記…

「下働きとしての哲学」としての、自閉症の現象学

Zahavi, D., 2005, "Theory of mind, autism, and embodiment," Subjectivity and Selfhood, MIT Press, 179-222. 自閉症について、S. バロン−コーヘンらによってなされている心の理論による議論について、その基礎的概念の検討を通じて批判をしていく論文。…

Neurotypicals

ニューロ・ティピカルス。どう訳すべきなのだろう。典型的な脳神経の持ち主という感じなのだろうか(もちろん「正常」とか「ノーマル」という語はふさわしくない)。 ウィキ・ペディアによると、この概念は脳神経系レベルに絡めて自閉症以外の者を指すべく、…

アイデンティティ・と・政治

アイデンティティにもとづく政治について述べるなかでのJ. バトラー。「ユダヤ人を愛そうとも憎もうとも、まさに同じ信用ならない操作に荷担している」『みすず』589号, 6-24頁。 私たちは、考察の対象が実際にはパレスティナにとってのある新たな政治秩序で…

科学(者)のなかの哲学(者)

哲学の生存戦略とそのアジェンダーとの副題をもつ論文の中の一節から。 科学者も探求の或る局面で、複数のリサーチ・プログラムの優劣を論じたり、ある結果を発見といってよいかどうかを考えたり、これまで使ってきた概念を整理したり、複数の理論の相互関係…

What is an author

ある事情から、読み直す。関連する部分の抜き書き。 ...... I believe that one could find here an introduction to the historical analysis of discourse. Perhaps it is time to study discourses not only in terms of their expressive value or forma…

Live: Complete friday night sets

最近あまりに聞くものがなく(気に入ったものという意味ですが。何を聞いたらよいのでしょう)、とても遅まきながら、こちらをダウンロードして聞いてみる。 http://www.nonesuch.com/albums/complete-friday-night-sets-mp3s-nonesuch-store-exclusive すで…

Black Dub

一応、Black Dubのデビュー・アルバムが届く。メンツはD. ラノア、B. ブレイド、D. ジョンソン、T. ホィットリー。リズム隊を中心にすごいメンツですね。 ところで、ボーカルのホィットリーがすこし細めの強い声を出すこともあってなのか、ラノアのものにし…

homework, not fieldwork

K. ヴィスウェスワランの、いまとなってはすこし古い書のなかの言葉ですが*1、こうした課題はこれまではあまり適切ではない道具で遂行されてきたように思います。 ホームをこれまでと同じようにフィールドワークしたって、ダメでしょう。ミイラ取りがミイラ…

曖昧な印象

名古屋城二の丸広場に、池田亮司のインスタレーション「スペクトラ・ナゴヤ」を観にいく。 青白い大量のサーチライトが上空の彼方の焦点に向けられている。四方からは、サーチライトを囲むいくつかのスピーカーから微妙に共鳴する電子音が流されており、その…

歴史・記憶・人種

かなり過ごしやすくなった一日。大学の居室にて。 M. フーコー『社会は防衛しなければならない』を読み返す。系譜学のひとつのあり方として、政治=戦争の言説が検討されまたこれが断念されていく講義なのだが、この断念される当の言説とその戦術について、…

いつから

あいちトリエンナーレ2010で、栄の愛知県立美術館会場にむかう。 意外だったのが子連れの多さで、とくに草間彌生のいくつかの作品にはその水玉のごとく人びとが群れ集っているのに驚く。もちろん自分もその一人だったのだが、いつから草間彌生はこのような親…

影か道標か

『概念分析の社会学――社会的経験と人間の科学』(ナカニシヤ出版)が、おかげさまで再版されました*1。 僕は、この本については、企画編集と(実際には編集はあまりできてませんが)人種概念についての寄稿という形で、関わっています。それ以後、人種につい…

文化の問題

Hacking, I., 2009, "The question of Culture: Giulio Preti's 1972 Debate with Michel Foucault Revisted," Diogenes, 224, 81-5. (http://http://online.sagepub.com/search/results) Giulio Preti Prizeの受賞講演。フーコーとのあいだに僅かなやりとり…

胡蝶蘭、今年も

そう言えば、その存在を長らく忘れていた胡蝶蘭。何もしないでベランダの日陰に放っておいたら、いつの間にか今年も咲いてのに気づいたのが約一月前。花はほとんど落ちていますが、一応、記念に。

抵抗感なしには呼べない名字のような

今日は午後より大学の居室へ。 久しぶりに掃除をしたり、必要な論文いくつかを探し出したり。 そのなかで目についたある論文。そう言えば重要だったんだ、とゆっくりと読みすすめていく。 いくぶん会話分析よりになされたけれども無視のできない重要な先行研…

最近はあちこち、病院や保健所に挨拶に行くことが多い。おもに自分の調査だったり、学生の調査の依頼だったりするが、そんなとき、どことなくアレって感じで投げられる視線が気になる。某メディア露出のせいか、それとも過剰な自意識のせいなのか。 それはと…

暑いですね

今さらながらですが、でもどことなく湿気がなく少しはすごしやすくなってきたような気がします(津は)。街の明暗もはっきりしてきたしね。 さて今日は、調査依頼の帰りに立ち寄った伊勢にて、伊勢うどんと赤福氷をいただいてきました。うどんといえば同居人…